
日 時 :2024年12月10日(火)14:00-17:00
場 所 :東京藝術大学 芸術未来研究場 藝大部屋(旧日展新会館)〒東京都台東区上野桜木2丁目14−3
主 催 :東京藝術大学未来創造継承センター
話題提供:屋宜初音
アートプロジェクトが終わったあと、関わった人たちはどのように心の整理をつけているんだろう。
そんな疑問のもとアートプロジェクトのその後を追う研究を始めました。研究対象は「北本ビタミン」。約15年程前に、埼玉県北本市で展開されていたアートプロジェクトです。
調査を始めた当初、私は過去のアートプロジェクトを追う作業とは、化石発掘のような孤独で淡々とした作業だと思っていました。実際はまったく違います。「北本ビタミン」の非当事者で当時の記憶を持たない私は、たくさんの人に出会い、話を聞き、資料を譲り受けました。調査を進めるなかでたくさんの断片的な記録と記憶に対峙し、過去と現在の架け橋になり、当事者/非当事者に関わらず多くの人を巻き込み、巻き込まれていく状況が生まれたのです。
茶話会では、「北本ビタミン」のその後を追ったドキュメンタリー映画『北本ビタミン B』を上映させて頂きます。またさまざまな形で「北本ビタミン」に携わっていた地域メンバーにも参加してもらう予定です。アートプロジェクトの記憶を語ること、記録集にのこらない言葉たちと向き合う経験について、プロジェクト運営側、地域側双方の視点からお話しできればと思います。
屋宜初音
メンバー:服部浩之(キュレーター/大学院映像研究科メディア映像専攻)
西尾美也(美術家・ファッションデザイナー/美術学部先端芸術表現科)
畑まりあ(アートマネジャー/芸術未来研究場)
幅谷和眞(リサーチャー/未来創造継承センター)
阿部航太(デザイナー/文化人類学専攻)
平諭一郎(研究者/未来創造継承センター)
参加自由・途中入退出自由
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科の修士過程に在籍していた屋宜初音は、研究の一環としてドキュメンタリー映画《北本ビタミン B》を制作した。埼玉県北本市でおよそ15年前に実施されていたアートプロジェクト「北本ビタミン」の当事者ではない屋宜は、かつて展開されたアートプロジェクトに携わった多くの人々と語り合い、その記憶を記録していった。
第4回目となる茶話会は、ドキュメンタリー映画《北本ビタミン B》の上映から始まり、そのあとに「北本ビタミン」の当事者たちを交えて、アートプロジェクトのその後について語り合った。「北本ビタミン」の関係者はすでに映画を見た経験があるが、茶話会に参加した者の多くは初めて映画を見たので、知っていることや思い入れの差はあれど、参加者全員が同じ場所で、同じ時間に映画を見たという経験を共有している。そこから始まった語り合いは、とても居心地が良いフラットな場のように感じられた。(報告:平)